しかし,知能とはいったい何なのでしょう。私たちが通常思い描くのは,意味を読み取り,解釈し,適切に処理した上で,反応したり表現したりすることかもしれません。そういう意味では,Jabberwackyは,一切考えていません。人工知能というより,むしろ「人工無能」だといってよいくらいです。何しろ,こちらの言っていることの意味を,まったく理解していない,いえ,理解しようとさえしていないのですから。
それなのに,ときにJabberwackyが知的に見えてしまうのはなぜでしょう。それは,Jabberwackyが出す反応(会話文)の妥当性が高いからです。つまり,意味を理解して,それに対しての適切な処理をしなくても,アウトプットとしての反応が妥当であれば,知的に見えてしまうわけです。
そして,それこそが,チューリングテストを定式化した際に,チューリングが発した問いなのです。
新井紀子 (2010). コンピュータが仕事を奪う 日本経済新聞出版社 pp.46-47
(引用者注: http://www.jabberwacky.com/)
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