気づかず模倣することは,ほぼ間違いなく悪いデザインをもたらす。どこから自分のアイディアが来たのか知らない場合,たぶんあなたは模倣者の模倣をしている。ラファエルは19世紀中ごろの美術界を席巻したため,その時代に画家を志した者のほとんどは彼を模倣していた。しかも模倣の模倣が何回も行なわれた。ラファエル前派が反発したのはラファエル自身の作品よりも,総いった風潮であった。
志ある人は単なる模倣では満足しない。センスの成長の次の段階では意識的に独自性を出そうとする。
最も偉大な作り手たちは,ある種の滅私状態に達するのではないかと私は思う。彼らは正しい答えを知りたいだけなのだ。そしてもし,答えの一部が誰かによって発見されていたのなら,それを利用しない手はない。誰かの仕事を借りても自分のビジョンは曇らないという十分な自信があるのだ。
Paul Graham 川合史朗(訳) (2005). ハッカーと画家:コンピュータ時代の創造者たち オーム社 pp.147
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