自己愛人間が「自分には権利がある」というメッセージを伝えるとき,彼らが感じているのは自尊心ではない。彼らの特権意識は本物の自尊心とは別物だ。自尊心は,現実の功績や自分自身の理想に忠実なことから生まれる。尊重されて当然だが相手を敬う必要はないと思う者,努力もなしに報いを求める者,不快な出来事のない人生を期待する者は,自己の運命を方向づける能力を失っていく。彼らは本質的に受身の役割に甘んじ,外部に頼って幸せをつかもうとする。期待が実現しないと無力感に包まれる。特権意識を振りかざして,一歳児の幻想の世界に生きようとする。彼らが激怒するのも無理はない。
サンディ・ホチキス 江口泰子(訳) (2009). 結局,自分のことしか考えない人たち:自己愛人間とどうつきあえばいいのか 草思社 pp.47
(Hotchkiss, S. (2002). Why is it always about you? New York: Free Press.)
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