彼らがもっぱら自分に関心を向け,自分の考えや感情や体験が個性的で,自分が現実よりはるかに重要だと思いこむのはごくふつうのことだ。つねに想像上の観客の前で演技をしているようなもので,思春期には他者の(とくに自分にたいする)考えを推測する傾向が強くなり,その自己中心性ゆえに自分が本当だと思うことが現実だと思いこむ。
青春期の自己中心性と演繹的推理は揮発性の混合物をつくり出し,全能感と誇大感の匂いの漂う二種類の幻想的な考えを生む。ひとつは,他者には危険でも自分はその危険を免れているという無敵神話,もうひとつは,自分が個性的で神秘的ですらあるという幻想の個人神話だ。
サンディ・ホチキス 江口泰子(訳) (2009). 結局,自分のことしか考えない人たち:自己愛人間とどうつきあえばいいのか 草思社 pp.119
(Hotchkiss, S. (2002). Why is it always about you? New York: Free Press.)
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