自己愛人間も薬物に頼る人間も,自分の欲求を満たす人物にたいして全能の支配感をもちたがるが,なかなか他者を信用できない。どちらも短気ですぐに結果を求めたがり,他者を利用して請求に満足を得たがる。ところが薬物を利用すれば,精神的な努力なしに欲求が満たせる。彼らは自分の本当の能力を危険にさらす緊張や苦痛や挫折に耐えられず,じっさいの自分の能力にたいする不安を薬物で鎮めようとする。自己愛人間も「真の自己」が起動できず,非現実の世界に生きている。依存症の人間は薬物によって,自分を慰めてくれたものを自分がコントロールしていると感じられた,自己愛人間の乳幼児期の心理状態に戻ることができる。
サンディ・ホチキス 江口泰子(訳) (2009). 結局,自分のことしか考えない人たち:自己愛人間とどうつきあえばいいのか 草思社 pp.144
(Hotchkiss, S. (2002). Why is it always about you? New York: Free Press.)
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