ねたみは,権力の均衡の変化にことのほか敏感な自己愛人間にとっても馴染み深いものだ。ふつうは相手をこきおろしたり,相手と張り合って出し抜くというかたちであらわされるが,ときには過剰な賞賛の背後に隠れていることもある。相手をこきおろせば,自分を損なうものをおとしめられる。相手と張り合うのは,相手をだしにして自分を引き上げ,望むものを手に入れようとするからだ。口先だけの賞賛は,ねたみが引き起こす恥の意識を避けると同時に,自分と周囲にたいして侮蔑の念を否認する方法だ。こういった行為があるところ,ねたみと,おそらく自己愛人間がいる。
サンディ・ホチキス 江口泰子(訳) (2009). 結局,自分のことしか考えない人たち:自己愛人間とどうつきあえばいいのか 草思社 pp.191-192
(Hotchkiss, S. (2002). Why is it always about you? New York: Free Press.)
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