投資アナリストの見込みが大きく外れたからといって,私はさして驚きはしなかった。投資アナリストの分析力がどのくらいのものか調べてみたら期待したほどではなかったというのはよくあることだ。スウェーデンでも似たような研究があった。新聞社が5人の熟練投資家と,オラというチンパンジーに,1250ドルずつ渡して投資させた。オラはストックホルム株式市場に上場している会社をダーツで選んだ。1か月後に新聞社が5人と1匹の競争者の損益を比較すると,オラがどの金融専門家よりも勝っていた。「ウォールストリートジャーナル」でも,同じようなことが行われている。同紙は定期的に,4人の投資家に1銘柄ずつ選んでもらい,オラと同じダーツ投げ方式で,あと4銘柄を選ぶ。6か月経つと,専門家が選んだ銘柄と,ダーツで選んだポートフォリオを比較する。だいたいダーツのほうが優秀で,最下位になることはほとんどない。
リチャード・ワイズマン 殿村直子(訳) (2008). Qのしっぽはどっち向き?:3秒で人を見抜く心理学 日本放送出版協会 pp.23
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