もう1つ,「お世辞効果」がある。ほとんどの人は,自分に脚光を当ててくれる言葉を信じたがる。そこで,「あなたは才能を生かしきっていない」とか,「自立した考えのもち主」などと言われると,ありがたく受け入れたがるのだ。5割もの人が占星術を信じる原因は,ここにある。占星術の12の星座は,昔から陽の星座(牡羊座,双子座,獅子座,天秤座,射手座,水瓶座)と陰の星座(牡牛座,蟹座,乙女座,蠍座,山羊座,魚座)に分けられているが,陽の星座の特徴は,陰の星座よりも好ましいものが多い。天秤座の人は平和と美を求めるのに対し,牡牛座の人は,実利的で怒りっぽいといわれる。ウィスコンシン大学の心理学者,マーガレット・ハミルトンは,人びとに誕生日を尋ね,星占いをどれぐらい信じるか,7段階で表してもらった。すると,陽の星座の人は,陰の星座の人よりも星占いを信じる傾向が強く,「お世辞効果」説を裏づける結果になった。
リチャード・ワイズマン 殿村直子(訳) (2008). Qのしっぽはどっち向き?:3秒で人を見抜く心理学 日本放送出版協会 pp.37
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