付き合ってほしい人に自分を印象づけたいとき,どんなふうに話しかけたらよいだろう?インターネットで検索しても役には立たない。オススメとされているセリフは相手に自分をよく印象づけるどおろか,嫌われそうなものばかりだ(「ここは暑いですね。あなたのせいかな?」「アルファベットの順番を入れ替えるなら,UとIを一緒にしたいな」「自分の電話番号忘れちゃったよ。君の番号を教えてくれる?」)エジンバラ大学の研究グループが,いちばん強力な口説き文句を決定するために,昔からよくある口説き文句を人びとに採点してもらった。その結果,ストレートなセックスアピール(「わお!ね,フレッド・フリンストーンにはなれないかもしれないけれど,ぼくは君の岩床になるよ!」)や,お世辞(「やっと会えた!ずっと探していたんだよ。君こそぼくの夢の乙女だ」)は,研究者も不審に思うほどだった。さんざん頭を抱えて悩んだすえ,これらの口説き文句が使われたのは,「男性が性的規範がゆるい女性(売春婦)かどうか知りたいとき」だったのではないかということになった。得点が高かったのは,ウィットにあふれ,陽気な人柄や,豊かさや,教養の高さを感じさせる文句だった。これは研究としては立派なものだ。ただ,本人たちも認めるように,匿名でアンケートでイエスにチェックされたからといって,現実の場で,そううまくいくだろうか?
リチャード・ワイズマン 殿村直子(訳) (2008). Qのしっぽはどっち向き?:3秒で人を見抜く心理学 日本放送出版協会 pp.183-184
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