アイゼンクは,ドイツの漫画を英語に翻訳して,イギリス人たちに見せ,その漫画がどれぐらいおもしろいか,1人ひとりに採点してもらった。すると,3か国の漫画の得点は,どれもほとんど同じだった。次に,それらの漫画が,イギリス,アメリカ,ドイツのどの国のものか当てさせた。これによって,ある漫画がどの国のものかを判断するのに何が決め手になっているかを調べることができた。ドイツの漫画だと思われた作品は,アメリカやイギリスのものだと思われた作品よりも,おもしろくなかった。さらに分析すると,国ごとの固定観念が明らかになった。ドイツの漫画と思われた作品の特徴を見ると,太った女性,趣味の悪い服の少女,古臭い家具といったマイナスのイメージが誇張されていた。
アイゼンクは,実験の第二部で,イギリス人,アメリカ人,ドイツ人(実際は,戦争のために祖国から逃げてきた人びと)に,同じジョークや詩を採点してもらった。すると,だいたいアメリカ人は,イギリス人やドイツ人よりもおもしろがる傾向があったものの,どんなジョークをおもしろがるか,国別の特徴はあまりなかった。
リチャード・ワイズマン 殿村直子(訳) (2008). Qのしっぽはどっち向き?:3秒で人を見抜く心理学 日本放送出版協会 pp.241
PR