スイスは世界で最も工業化が進んだ数少ない最富裕国のひとつだが,驚くべきことに,富裕国のなかでは大学入学率が最も低いのだ。実は群を抜いて低い。1990年代前半まで,スイスの大学入学率は他の富裕国の平均の3分の1ほどしかなかった。1996年になってもまだ,OECD諸国の平均の半分以下だった(16%vs.34%)。ただ,それ以降は,ユネスコのデータによると,かなり上がっていき,2007年には47%にまでなる。しかしスイスの大学入学率はいまなお富裕国中最低であり,フィンランド(94%),アメリカ(82%),デンマーク(80%)といった最効率の国々と比べるとはるかに低い。また,興味深いことに,韓国(96%),ギリシャ(91%),リトアニア(76%),アルゼンチン(68%)といった,スイスよりはだいぶ貧しい国々と比べても,かなり低い。
ハジュン・チャン 田村源二(訳) (2010). 世界経済を破綻させる23の嘘 徳間書店 pp.251
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