超自然現象に対する信奉がこれほど幅を利かせている理由は,そのもっともらしさにありそうだ。超自然現象がもっともらしく思えるのは,私たちが信じたいと思っていること,あり得ると既に確信していることと符合するからである。しかも,人生の薬味になる奇妙で不可思議な出来事もすべて,超自然現象と考えれば説明がつく。どんな考えや思い込みでも広まることは広まるだろうが,人の心に根を下ろし,納得させることができるのは,私たちが可能と考えていることと共鳴するものに限られる。これが本当に肝心な点なのだが,しばしば見落とされている。私たちはさまざまな考えを受け入れもはねつけもするが,その根拠について考えるのはまれであるからだ。受け入れの条件は,私たちが既に理解していることと一致する考えであること,そうでなければ,つじつまが合わないからである。
ブルース・M・フード 小松淳子(訳) (2011). スーパーセンス:ヒトは生まれつき超科学的な心を持っている インターシフト pp.37-38
(Hood, B. (2009). Supersense: Why We Believe in the Unbelievable. London: HarperCollins.)
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