恐怖症は,潜在的な脅威の源の実態からするとまったく大げさすぎる,不合理な恐怖と思い込みである。たとえば,イギリスには毒グモは生息していないのに,イギリス人が恐怖症の対象として真っ先に挙げるのが毒グモだ。大勢の奥様がた同様,キムもクモを家から追い出す役目を私に仰せつける。問答無用である。私たち夫婦には,やはり田舎暮らしをしている友人がいるのだが,彼女の場合,夫が不在の時は,わざわざ遠くの害虫駆除業者に金を払ってクモ退治に来てもらうそうだ。2005年,ロンドン動物学会が成人1000人を対象として調査を行ったところ,10人に8人がクモに対するいわれなき恐怖,クモ恐怖症を抱えていると回答した。
ブルース・M・フード 小松淳子(訳) (2011). スーパーセンス:ヒトは生まれつき超科学的な心を持っている インターシフト pp.100
(Hood, B. (2009). Supersense: Why We Believe in the Unbelievable. London: HarperCollins.)
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