最新の研究と言えば,2007年にアメリカの一流大学21校の学者1646人を対象として行われた調査で,その報告によると,面接調査した物理学者,化学者および生物学者のうち,神を信じていないと回答した者の割合は10人に4人にすぎなかったそうだ。言い換えれば,大半の科学者は,幾分なりとも態度を決めかねているか,信じているということになる。この学者たちが客観的で確かな証拠に基づいた主張を要求する,実に“厳格”な科学畑の人々であることを考えると,この結果は注目に値すると思える。これはいったい,何を意味するのだろうか?簡単に言ってしまえば,優れた科学教育を施しても,信仰を捨てさせるのは不可能ということだ。一般大衆の知的水準を全米科学アカデミーや王立協会の会員レベルまで高めれば信心を捨てさせられるなど,本気で思ってはいまい?科学教育は必要不可欠であるし,すべての子どもたちに役立つはずだが,宗教ウイルスの感染を防ぐ予防接種になってくれると勘違いしてはならないということである。
ブルース・M・フード 小松淳子(訳) (2011). スーパーセンス:ヒトは生まれつき超科学的な心を持っている インターシフト pp.117
(Hood, B. (2009). Supersense: Why We Believe in the Unbelievable. London: HarperCollins.)
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