科学者にも感情はある。一般にはほとんど認識されていないが,科学は実に情熱的で感情的だ。こう言うと,科学者でない人々はたいていびっくりするのだが,正直なところ,考えや評判を批判された場合,不当な言いがかりだと本当に傷つくものである。と言うわけで,誰でもいいから,感情などないと言ってみるがいい。感情がなければ,誰も自分を人間とは思えないはずだ。一方,感情があるならば,それを理性で完全に抑えることは不可能なのだから,超自然現象を信じる可能性はある。私が言いたいのはそこだ。超自然現象信奉にどこまで振り回されるかは,人それぞれに異なる。たいていの人は超自然的な考え方を抑制できるのだが,結局のところ,超自然現象をどこかで信じつつ判断し行動するのは,人間の精神構造では当たり前のことなのである。
ブルース・M・フード 小松淳子(訳) (2011). スーパーセンス:ヒトは生まれつき超科学的な心を持っている インターシフト pp.127
(Hood, B. (2009). Supersense: Why We Believe in the Unbelievable. London: HarperCollins.)
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