私も最近,健康な学生たちを対象として,この種の考えについて調べてみた。20人の顔写真を用意して,外見的な魅力と知性,それに,自分が心不全で死にかけている場合のドナー候補としての好ましさを評定させたのである。まず,これだけの選考基準でドナー候補たちの顔写真をランク付けさせた。次いで,写真の半数は殺人犯で,残りはボランティアとして活動している人々であることを明かしてから,改めて,魅力,知性,ドナーとしての好ましさを評価し直させた。はたして,殺人犯のランクはすべての評価項目で低下したが,もろに影響があった評価項目はドナー候補としての好ましさだった。学生たちは殺人犯の邪悪さを,筋組織でできたただのポンプにすぎない心臓に蓄積されて伝染しうる,実体のある属性と考えたようだ。
ブルース・M・フード 小松淳子(訳) (2011). スーパーセンス:ヒトは生まれつき超科学的な心を持っている インターシフト pp.278
(Hood, B. (2009). Supersense: Why We Believe in the Unbelievable. London: HarperCollins.)
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