見られているという感覚は,誰もが体験したことのある,ありふれたスーパーセンスの一例だ。実を言えば,あまりによくあるため,見えない視線を感知するのは人間が普通に備えている能力だと思われていたりする。人並み以上に分別があるはずの教育を受けた大人でも,そんな能力が本当にあるなら,超自然現象だということに気付いてさえいないことが多い。だからこそ,発達期に自然発生し,やがて常識と受け止められるようになる超自然現象信奉の一例として,この見えないものにみられているという感覚を詳しく検討してみる価値がある。これは大人が子どもに教えるような通念ではないのである。
ブルース・M・フード 小松淳子(訳) (2011). スーパーセンス:ヒトは生まれつき超科学的な心を持っている インターシフト pp.329
(Hood, B. (2009). Supersense: Why We Believe in the Unbelievable. London: HarperCollins.)
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