環境省によれば,2008年に,全国の自治体の動物管理センター(保健所)に引き取られたイヌの数は,成犬9万810頭,幼齢犬2万2678頭となっており,このうち返還・譲渡されたのは,3分の1に満たない3万2774頭で,8万2464頭が殺処分されています。
引き取られたイヌのほとんどは,イヌの所有者によって持ち込まれたイヌです。「返還」というのは,何らかの事情で迷い犬になったのが飼い主のところに無事戻されたということで,「譲渡」というのは,新しい里親に引き取られたということです。
譲渡先が見つからなければ,ふつう長くても1週間以内に殺処分されます。そのほとんどは,炭酸ガスによる窒息死です。安楽死にはほど遠く,イヌたちは恐れおののきながら,特に旧式のガス室の場合,少なくとも十数分間もがき苦しみながら死に至ります。なかには1度のガス噴射では絶命せず,断末魔のなかで痙攣しつづける犬もいるということです。
堀 明 (2011). 犬は「しつけ」でバカになる:動物行動学・認知科学から考える 光文社 pp.37-38
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