ここでは,その結論部分だけを紹介しておきます(『犬は「しつけ」で育てるな!』では,日齢で示したが,本書では解析結果に沿って週齢で表記する)。
5週齢以内に親きょうだいから引き離されたイヌは,例外なく他のイヌをきょくたんにこわがる。震えだすか,逃げ惑う。性的関心もほとんど持たない(雌は交配がとても困難)。攻撃をしかけるイヌもいるが,これは恐怖感からくる防御的な攻撃と思われる。
6週齢〜7週齢に親きょうだいから引き離されたイヌは,5週齢以内のイヌに比べれば,怖がりの程度は多少ゆるむ。個体によっては,他のイヌをほとんど恐れないものもいるが,これはイヌそのものに関心を示さないことを意味しているにすぎない。イヌ本来のあいさつ行動やボディーランゲージをきちんと表現できるわけではない。
8週齢〜10週齢に親きょうだいから引き離されたイヌは,他のイヌと出合ってから,ある程度時間が経つと,いっしょに遊ぶようになる。
12週齢に親きょうだいから引き離されたイヌは,他のイヌとほとんど問題なく遊べる。社交的な態度がとれる。
16週齢に親きょうだいから引き離されたイヌは,初対面の相手にも,まるで以前からの顔見知りのようにふるまえる。
堀 明 (2011). 犬は「しつけ」でバカになる:動物行動学・認知科学から考える 光文社 pp.62-63
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