2010年,オーストラリアの科学者たちは,MRI(磁気共鳴映像法)を用いて,イヌの脳を分析しました。すると,新しい発見があったといいます。グレーハウンド,イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル,オーストラリアン・キャトル・ドッグ,秋田犬,ジャック・ラッセル・テリア,シー・ズーなど10犬種の脳を解析したところ,パグのような丸い形の頭の場合,通常より脳が前方にあり,嗅覚の情報処理に関わる部分がきわめて低い位置に下がっていることがわかったというのです。
この発見は,イヌが嗅覚で感じとる世界が頭の形によって大きく異なるかもしれない,ということを示唆しています。検査にあたったニューサウスウェールズ大学の研究者によれば,イヌの頭の形に伴うこうした組織的変化は,脳機能の点でもちがってくる可能性があるということです。この点については,今後の解明が必要だと思います。
堀 明 (2011). 犬は「しつけ」でバカになる:動物行動学・認知科学から考える 光文社 pp.86
PR