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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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他者の排斥

 多少思考力のある人間ならば,他者の排斥によって自分を確立しようとしたとき,どうしても,「他者も自分を排斥しようとしているのでは」と思いついてしまうだろう。悪口を言う人ほど,「きっとみんなは自分の悪口を言っている」と怯える。子供のときにはそこまで想像が巡らなかったかもしれないが,大人になれば自然にそれくらいは想像してしまうのだ。してしまうから,それによって「自分」が不安定になる。
 これは,手法が致命的欠陥を持っている,というほかない。この方法では,自分を確立することはできないだろう。極度に自分に自信(あるいは幻想)があって,自分は神だとでも思わないかぎり無理である。常に他者の目を気にして,しだいに窮地に追い込まれる。酒に逃避するなど,別の逃げ道を見つける以外になくなる。ようするに,最後は考えないようにするしかない。考えない人間というのは,はたして人間か,と疑われる存在に行き着くだろう。

森博嗣 (2011). 自分探しと楽しさについて 集英社 pp.98
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