毎年1月,センター試験当日になると,テレビなどがその様子を報じます。会場からレポーターが「いよいよ受験シーズンがはじまります。受験生の皆さんにとっては,今日からが勝負です」といった型どおりのコメントを出します。
しかし,これは真実ではありません。というのも,センター試験を迎える頃には,半数を超える生徒の進学先が決定しているからです。
2010年度の大学入試の結果,私立大学に入学した学生のうち,一般入試で入学したのは48.1パーセント。なんと半分もいません。残りの内訳を見ると,付属高校からの内部進学や指定校推薦などを含む「推薦入試」での入学が40.9パーセント。そしてAO入試が10.5パーセントです。これに帰国子女試験での進学者などがわずかに加わります。
国公立大学を含めても,一般入試での大学進学者は55.2パーセントに過ぎません。AO・推薦入試に挑戦した後,一般入試に取り組み,そちらで進学先を決める受験生もいますので,少なくとも受験生の半数近くは,何らかの形でAO・推薦入試を体験しているというのが実態です。
この事実は,あまり一般に知られていません。ですから,高校生やその保護者の方々にご説明すると驚かれます。それどころかメディアの方でも,「受験は冬から」と思われている方が少なくないようです。
倉部史記 (2011). 文学部がなくなる日 主婦の友社 pp.124-125
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