一般入試の問題は,基本的にその大学の教員が作問しています。入学後に落ちこぼれず,授業についていけるかどうかを測るために,必要となる学力を試験で問う。これが,入試の目的だと思います。
だとしたら,理想的な入試問題というのは,「受験時に高得点を取った学生ほど,卒業時に,4年間の授業で好成績を残している」問題だということになります。もちろん,入学後に各自がどのような成長を果たすかは完全にはわかりませんが,おおむね受験時の成績が,入学後の成績に比例するような問題が作れたら,試験としては理想的でしょう。
もっと言えば,こうした観点がないまま入試問題が作られているとしたら,それは何かがおかしいのです。なにしろ一斉に入試問題を解かせて,点数が高い順に合格を出しているのですから。「点数が高い者ほど,よりわが大学で学ぶ資質がある」ということでなければ,学力測定ツールとしての,一般入試の存在意義は揺らいでしまいます。
倉部史記 (2011). 文学部がなくなる日 主婦の友社 pp.136-137
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