入試の変化に関連して,本質的な問題とは別に,関係者の予期しなかった問題も起こっています。AO入試や推薦入試を受験したくても受験できない,受験することを許されない高校生がいるのです。
評定平均が足りないとか,大学が求める選択科目を履修していないとか,そういった,条件を満たしていない生徒のことではありません。むしろ逆。評定平均もバッチリで,模試などでも高得点をたたき出す。そんな成績優秀な生徒たち,高校で「特進コース」や「難関大学進学クラス」といったクラスに在籍している生徒たちです。
学校によって事情はまったく異なるので一般化はできないのですが,こういった進学クラスの生徒に,AO入試や推薦入試(公募制,指定校制など)への出願を禁じる高校というのが,実は少なからず存在しているのです。
特に指定校推薦枠への制限は顕著だと聞きます。あるいは,推薦への出願は認めつつ,「でもその代わり,必ずセンター試験を受けなさい」とか「一般試験も受けなさい」などと指導するケースです。
理由は明らかで,高校の「合格実績」を伸ばすためです。
倉部史記 (2011). 文学部がなくなる日 主婦の友社 pp.142-143
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