セックスという言葉は,男女の性交の意味で使われるのだろうが,客が男の場合にはより直接的に「射精産業」というべきかもしれない。性交(ホンバン)を頂点とするピラミッドがあるとして,歌舞伎町では性交の手前の射精や催淫的なムード,予備行為なども売り物になり,射精産業には何段階もの亜種的な業種がある。
女性との性的会話を楽しむ,あるいは口説く(キャバクラやクラブなど),若い女性の陰部やオナニー姿などを見せる(覗き部屋,ノーパンしゃぶしゃぶなど),女性の乳や陰部を触らせる(ノーパンクラブやお触りバー),女性の手指などで射精をもたらす(ピンクサロンやセクキャバなど),同じく女性の手や体を使ったマッサージで射精させる(エステなど),女性をホテルに連れ出せる(台湾クラブや中国クラブ),ホテルに女性が来る(デルヘリなど),客の女性と直接交渉できる(出会い喫茶,ハプニング・バーなど),女性とセックスできる(ソープランド,街娼)など——歌舞伎町は性的な各種サービスに溢れている街である。
溝口 敦 (2009). 歌舞伎町・ヤバさの真相 文藝春秋 pp.70-71
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