自分のことを少し振り返ってほしい。何か選択をするとき,あなたが真っ先に考えるのは,自分が何を求めているのか,何があれば自分は幸せになるのか,ということだろうか?それとも,自分だけでなく周りの人たちにとっても,何がベストかを考えるだろうか?この一見単純な問題が,国の内外を問わず,すべての文化や個人の大きな違いの中心に潜んでいる。もちろん他人のことをまったく顧みないほど自己中心的な人はまずいないし,自分の必要や欲求にまったく頓着しないほど無私無欲な人もいない。だがこうした極端な例を除いても,それでもまだ大きな違いが存在する。わたしたちがこの両極間のどこに位置するかは,文化的背景と,わたしたちが与えられている選択の仕方に関するスクリプト,つまり一連の行動プログラムによって決まるのだ。
シーナ・アイエンガー 櫻井祐子(訳) (2010). 選択の科学:コロンビア大学ビジネススクール特別講義 文藝春秋 pp.54-55
(Iyengar, S. (2010). The Art of Choosing. New York: Twelve.)
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