まず「マネジメント」とは「事業をうまく運営すること」と定義する。単に「事業を運営する」のではなく,そこに「うまく」というニュアンスを絡ませている。事業をうまく運営することは,利益を多く出すこと,あるいは安定的に出すことに他ならない。だから,マネジメントとは,事業をうまく推進するための「知恵」や「手法」であり,それは「理論」として体系化されたり,「制度」として形式化されたりする。
一方,「ビジネス」とは,「何らかの事業を行うこと」と定義する。「事業」とは,他者に価値を提供して(何かを作るなり売るなりして)利益を得ることを目指す。ビジネスは,人間によって実際に行われているものであり,それが「うまく」行われているかどうかは問わない。つまりビジネスは,ある人間が「意志」に基づき実際に行う「活動」を指している。
深田和範 (2010). マネジメント神話が会社を滅ぼす 新潮社 pp.19-20
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