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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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遺伝的変異

 同じように,我々の種であるホモ・サピエンスは,遺伝的能力がはっきりと異なった亜種(人種)を内包していたかもしれない。もし,我々の種が数百万年前から存在し(多くの種はそうである),それぞれの人種が地理的に,この期間のほとんどを著しい遺伝的交換なしに隔離されていたとすれば,それぞれのグループ間に多数の遺伝的差異がゆっくり蓄積されていったに違いない。しかし,ホモ・サピエンスはせいぜい数十万年生存しているにすぎず,今日のすべての人種はおそらく,数十万年前に共通の祖先から分岐したにすぎない。我々はいくつかの目立った外見上の特徴を重大な違いであると主観的に判断してしまう。しかし,生物学者たちは最近---ずっと以前から推測されていたのだが---人種全体の遺伝的差異は驚くほど小さいと主張するようになった。ある遺伝子の頻度は人種によって異なるが,“人種遺伝子”---すなわち,ある人種には存在するが,残りのすべての人種には存在しない---なるものを見出していない。レヴォンティン(1972年)は,血液の違いを暗号化している17の遺伝子の変異を研究し,変異のわずか6.3パーセントが人種に帰することができることを見出した。85.4パーセントもの変異は,地域集団内で起こる(残りの8.3パーセントは1つの人種内の地域集団間の差による)。レヴォンティンが(私信で)述べたのだが,もしホロコーストが起こり,ニューギニアの森林奥深くに住む小グループの種族だけが生き残ったとしても,50億の人口の無数のグループ内で現在表現されているすべての遺伝的変異は保存されることになるだろう。

スティーヴン・J・グールド 鈴木善次・森脇靖子(訳) (2008). 人間の測りまちがい 下 差別の科学史 河出書房新社 pp.234-235.


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