しかし,消去法による判断は本来,「こうしたい」という意志に合致するものがないとき,あるいは自分でも何をしたいのかわからないときの苦肉の策に過ぎない。決して望ましい判断方法ではないのだ。
また,消去法による判断ばかりしていると,1つの困った傾向が生じてくる。それは,「どのような結果が出ても満足感が得られないため判断することが面倒くさくなってしまう」ということである。「自分は,これをやりたかったわけではない。予想通りの結果は出たが,別の案を採用していれば,もっとよい結果が得られたかもしれない」。どのような結果が出てもこのような思いが湧いてくるため,消去法による判断では,最終的に満足感や達成感を得ることができない。そして,時間をかけて検討することが無意味に思えて,判断すること自体を避ける傾向が出てきてしまう。
深田和範 (2010). マネジメント信仰が会社を滅ぼす 新潮社 pp.37-38
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