先日,私は地元の小学生のサッカーの試合を眺めていた。コーチは,グラウンドの外から子供達に向かって「早めにパスしろ」「右に動け」等,ずっと大声で叫んでいる。大人から細かく指示が出てきて,それに従わないと怒られるのだから,試合をやっている子供達も,自分で考えようとする意識がなくなってくる。
ところが,試合の最後の方で,コーチは子供達に「もういい。お前達の自由にしろ。自分で考えて何とかしろ」と怒鳴った。「自由にしろ」と言われても,子供達は「自分達が何をしたいのか」とは考えない。「コーチが自分達に何をさせたいのか」ということを必死に考えている。その挙句,ますます自分の意志で動けなくなってしまう。「自分達で考えろ」「自由にしろ」と言いながら,いつまでたっても子供は自分の意志をもつようにはならない。サッカーに限らず,他のスポーツや習い事でも,大人が子供に接する態度に似たような傾向が見られる。
深田和範 (2010). マネジメント信仰が会社を滅ぼす 新潮社 pp.153
PR