アメリカ文化では,見かけの良し悪しを気にかけて不安を感じる傾向は強まる一方だ。調査会社ローパーによると,2003年には過半数(51%)のアメリカ人が,自分の容姿に「あまり満足していない」または「まったく満足していない」と答えたという。
ルックスこそが新しいフェミニズム,美を求める積極的行動主義である。いくら低俗で浅薄に聞こえようとも,現代は歴史上最もルックスが重要視される時代であり,とりわけ女性にとって容姿は大事なのだ。とはっきり書いてしまうとゾッとしてしまうが,私はジャーナリストであってイデオロギーの提唱者ではないので仕方がない。今私たちが生きている文化は,イメージが言葉よりもパワーを持ち,シンボルやサウンドバイト[訳注——短いフレーズでメディアで繰り返し引用される政治家などの発言。日本では小泉純一郎首相の「ワンフレーズポリティクス」がサウンドバイトを利用した典型例]が言葉を凌駕した恐るべき文化なのである。
アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.12-13
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