現在,1日に2800万のアメリカ人がプロザックなどの抗うつ剤を服用している。月経前症候群(PMS)の症状を緩和するからと言われてこうした薬——SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)——を服用する女性がいる。絶対に憂うつになったり疲れたり落ち込んだりしたくないというだけの理由で,SSRIを服用する人がいる。対人恐怖症があって人と打ち解けにくいためにSSRIを服用する人もいる。SSRIは自尊心——毎度おなじみ『エクストリーム・メイクオーバー』の決まり文句——を得るための手段となった。そして,人間行動における正常な範囲に収まる程度のちょっとした心理的症状を軽減しようとしてSSRIを服用する人は数百万人にも上る,と多くの研究者は論じている。
つまり,これは内面を美しくする手段である。
アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.114-115
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