人々は関係がどのように機能するかについて特定の信念や基準をもっており,これらは時に非常に非現実的,あるいは非合理的でさえあるので,パートナーを失望と苦悩の底へ落とし込む。こうした信念の中には危険なものもある。具体的には,以下のような信念を抱いている人は,関係にあまり満足しない傾向がある(Moller & Van Zyl, 1991)。
(a)相手を誤解することはその人を愛していない証拠である
(b)意見の不一致は破壊的である
(c)男性と女性は互いにかなり異なっている
(d)人は決して変わることはない
(e)セックスはいつでも完璧であるべきで,そうでなければ愛は偽物である
不満を感じる主な理由は,そうした信念をもつことによって課題解決が適切に行えないことであるらしい(Metts & Cupach, 1990)。すなわち,こうした信念を持っている人は,不一致が生じた時にそれを解決するための建設的な行動をとることが少ない。
R.S.ミラー (2001). うまく機能していない関係 R.M. コワルスキ&M.R.リアリー(編著) 安藤清志・丹野義彦(監訳) 臨床社会心理学の進歩 実りあるインターフェースをめざして 北大路書房 361-396.
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