コモディティとは前述したように,「スペックが明確に数字や言葉で定義できるもの」という意味である。ここの商品の性能自体が高いか低いか,品質が優れているかどうかは,関係がない。
人間の採用においても同じことだ。学歴が博士課程の人を募集するのであれば「博士」というスペックで,もしくは六大学以上の学歴でTOEICが900点以上というスペックで募集をかける。そうすると,そこに集まった人は「みな同じ」価値しかない。そこで付加価値が生まれることはないのだ。
業務マニュアルが存在し,「このとおりに作業できる人であれば誰でも良い」という仕事であれば,経営者側にとっての関心は「給料をどれだけ安くできるか」という問題になる。
こうして,いかに人を買い叩くか,という競争がグローバル市場で行われ,ホワイトカラーの労働力そのものがコモディティ化してしまった。そのため,今の社会は構造的に「高学歴ワーキングプア」を生み出す仕組みになっているのである。
瀧本哲史 (2011). 僕は君たちに武器を配りたい 講談社 pp.36
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