なぜ日本人は,投資に対しての理解が浅いのか。
その理由のひとつはおそらく,「投資」と「投機」の区別がないことが考えられる。
「投機」とは要するに,利殖のみを目的に,一攫千金を狙って行う賭け事だ。得する人間が1人いれば,損する人間がその何倍もいる。つまりは大勢の損が,少数の得に移転するだけの,ゼロサムゲームである。本質的にはパチンコや競馬,競輪と変わることがないギャンブルだ。
それに対して「投資」は,畑に種を蒔いて芽が出て,やがては収穫をもたらしてくれるように,ゼロからプラスを生み出す行為である。投資がうまくいった場合,誰かが損をするということもなく,関係したみなにとってプラスとなる点が,投機とは本質的に異なる。また投機が非常に短期的なリターンを求めるのに対して,投資は本質的に長期的なリターンを求めるところも大きな違いだ。
しかしそのような投資の本質について理解している人は,日本にはほとんどいない。
瀧本哲史 (2011). 僕は君たちに武器を配りたい 講談社 pp.210-211
PR