すくなくとも,政治家や官僚になるひとは,田舎暮らしをしてほしい。
文筆を生業にするひとも,ぜひ田舎で生活してほしい。
二十数年まえ,ぼくが東京に住んでいたころ,日本全国にコンビニは4万軒,喫茶店は8万軒なのに,土建会社は28万社あるとか,いや,56万社だとか本で読み,何かの間違いではないかと思った。大須賀町に住んで,その疑問は氷解した。大須賀町には喫茶店が2件,コンビニも2件しかないのに,土建会社は13社あったからだ。これは大須賀町だけのことではない。日本全国ほとんどがそうだ。田舎へ行けば行くほどこの比率は高くなる。
そして,袋井市のはずれにW杯でサッカー場をつくり,高速道路並みの道路を四通八達させたとき,土建会社が何よりも先に建てたのは“神社”であった。
縁起をかつぐ神社,これを建てる費用も公費なのだ。
工事の安全のために,かかせないから建てるのか。それとも,公費だから建て得だという慣習なのだろうか。
もし後者だとすると,日本人は神仏まで商売のネタにしていることになる。前者だとすると,その民族に『死後の世界はない』などと説いても聞く耳を持ってもらえないだろう。
木谷恭介 (2011). 死にたい老人 幻冬舎 pp.207
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