ラインは霊媒や霊能者について複雑な感情を抱き続けていた。彼らが自分で言うような能力を持っている可能性は否定できないと信じていたが,現実社会の霊媒たちは問題の種だった。アルコール依存者が多く,性的にも乱れがちで,男性であれば同性愛者であることも多かった。ラインはゲイに対して友好的だったが,ちょっとついていけないと感じる世代に属してもいたのだ。ラインはアプトン・シンクレアへの手紙で,あまり霊媒を持ち上げないようにと助言したことがある。アプトンの妻メアリー・クレイグはこれに強く抗議した。「私たちにとってはマイナスであっても,支払う価値があるコストなのです。名声とは知識を広めるために使うものです」
ラインは応戦して「どんな知識を広めているのです?」と書き送った。霊能者については,しっかりした情報がほとんどない状態だった。なぜなら,ほとんどの霊能者が研究室で検証されることを拒んでいたからである。
ステイシー・ホーン ナカイサヤカ(訳) 石川幹人(監修) (2011). 超常現象を科学にした男:J.B.ラインの挑戦 紀伊國屋書店 pp.213
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