ラインは「人間はその本質のなかに,自己理解に用いることができるどんなツールを有しているのか,今ほどその知識が必要とされているときはないだろう」と述べた。
超心理学は発達した。それは死者との間を取りもつための研究ではなく,「人間の本質のなかに隠された,ESPに代表されるような人格の知られざる側面」を考える学問なのだ。ラインは今後の展望についての発表を,荘厳な言葉で締めくくった。
「科学は時間と空間の観点で,コンピュータと分子の観点で,銀河と素粒子の観点で,未知なる世界の探求において大きな成功をおさめ,ようやく人間の心へと至り,これを解明できるようになったのである」
しかしこの時点で,科学がラインらの成果をまだ受け入れていないことには言及しなかった。
ステイシー・ホーン ナカイサヤカ(訳) 石川幹人(監修) (2011). 超常現象を科学にした男:J.B.ラインの挑戦 紀伊國屋書店 pp.281-282
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