忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「不自然」であること

 避妊は,いばしば「不自然だ」といって非難される。確かにそのとおり。きわめて不自然にちがいない。ところが困ったことに,不自然なのは福祉国家も同様なのだ。われわれのほとんどは福祉国家をきわめて望ましいと信じていると,私は考えている。しかし,不自然な福祉国家を維持するためには,われわれは,同様に不自然な産児制限を実行しなければならない。そうしなければ,自然状態におけるより,さらにみじめな結果に至るであろう。福祉国家というものは,これまで動物界に現れた利他的システムのうちおそらく最も偉大なものにちがいない。しかしどのような利他的システムも,本来不安定なものである。それは,利用しようと待ちかまえる利己的な個体に濫用されるすきをもっているからだ。自分で養える以上の子供をかかえている人々は,たぶんほとんどの場合無知のゆえにそうしているのであり,彼らが意識的に悪用を計っているのだと非難するわけではいかない。ただし,彼らが多数の子をつくるよう意図的にけしかけている指導者や強力な組織については,その嫌疑をとくわけにはいかないと私には思われる。


リチャード・ドーキンス 日高敏隆・岸 由二・羽田節子・垂水雄二(訳) (1991). 利己的な遺伝子 紀伊国屋書店 pp.185.


PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]