就職のエントリーシートを1年生に書かせるという,勘違いセンセイの授業を拝見したことがある。将来の就職ではこんなふうに自分を見られるのだから充実した学生生活を過ごせよ,というメッセージの方法でやっているのなら理解できなくもない。
しかし,そのセンセイの意図は違った。
書類や面接で受かるには,自己PRがうまくできるようにサークルがんばれ,アルバイトがんばれ,「就職活動はネタが勝負だ」と寿司屋みたいなことを言ってしまう。
これだと大学生活は企業採用に受かるために過ごす期間なのか,という話になる。エントリーシートを配られた1年生は,その紙をじっと見つめながら,「ああ,自分の大学の勉強って関係ないんだな」と受け取ってしまう。
でも,彼ら彼女らはサークルやアルバイトをがんばるためだけに,大学に入学したわけじゃないのだ。大学の勉強があって,他もあって,そのトータルを大学生活として期待していた。なのに1年次の正規の授業内で,その期待の梯子を外されてしまう。
だったら,そもそも大学なんかに進学しないで,4年間をアルバイトでがんばったほうがいいじゃないか,となる。まさに本末転倒な授業。
沢田健太 (2011). 大学キャリアセンターのぶっちゃけ話:知的現場主義の就職活動 ソフトバンク クリエイティブ pp.46
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