一次面接の部屋には,人事マンがいないこともざらだ。社内の各部署から若手や中堅社員を集めてきて,彼ら彼女らに選考を託すことが珍しくない。
相手にする学生数が多すぎて,いちいち人事部の者が選考につきあっていたら仕事がまわらなくなる,という現実的な理由がある。また,若手社員に面接の場を経験させることで,人材育成の機会とし,入社時のフレッシュな思いを再認識させるといった戦略的な理由もある。
が,一次面接における企業の狙いは,「現場の歳の近い社員が一緒に働きたいかどうか」を判断基準に人材を選別することである。
現場の肌感覚を活かすのはいいが,焦っている企業が多いんだなあと思う。こうした一次面接でピンとこなかった応募者をばっさり落とした場合,貴社に欠けている資質を備えた人材を無視できない確率で取り損なっている可能性はないだろうか。
各部署の業務に追われている面接官は,「こいつは我々のノリとは違う」「うちの空気には馴染めない」といった印象の学生を落とすはずだ。だとしたら,裏返すとそれは「類は友を呼ぶ」選考で,悪い意味での社風の固定化につながるのではないか。人材の多様性を確保し,ビジネス環境の変化に柔軟対処する組織論の反対だという気がするのである。
沢田健太 (2011). 大学キャリアセンターのぶっちゃけ話:知的現場主義の就職活動 ソフトバンク クリエイティブ pp.109-110
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