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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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次元モデル

 性格というのは,リアルな現象だ。心理学者は数学的モデルを発展させることで,性格の多次元にわたるヴァリエーションをある程度扱えるようになった。初めは多数の次元があるが,それは数学的手法によって少数の次元へと統合され,そこでは予言的な力が,目に見えて減少している。こうして抜粋された性格の次元は,攻撃性,頑固さ,愛情深さなど,われわれが直感的に知っているものに近いことも多い。性格を多次元空間のなかの点として捉えるのは,その限界を考慮しても,うまい考え方であり,実際に役に立つ。性格をそれぞれ相容れないカテゴリーに分類するようなやり方など及びもつかないもので,言うまでもないが,新聞の占星術で使われるようなばかげた12のごみ溜めとは,天と地ほどの差があるのだ。心理学者が立脚しているのは,人々自身の本質的な部分に関するものであり,誕生日などではない。また,心理学者による多次元的な尺度化は,ある職業に向いているとか,結婚しようとするカップルの相性が良いとか,といったことの判断に役立てることができる。これに比べて占星術師による12個の分類棚は,良く言っても,的外れで金のかかる酔狂でしかない。


リチャード・ドーキンス 福岡伸一(訳) (2001). 虹の解体 いかにして科学は驚異への扉を開いたか 早川書房 pp.166.
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