化学物質が遺伝子を変異させるかどうかを確認する有名な試験,「エイムズ試験」を考案したことで有名なB.N.エイムズ博士は,「食品中に含まれる農薬効果を持つ物質の99.99%はナチュラル」という論文を1990年に発表したことで知られている。植物は発がん物質など毒性のある物質を数多く自ら作り出し,それらが食品中には含まれており,人工的な農薬使用による残留は0.01%でしかない,という主張だ。論文ではキャベツに含まれる発がん物質などを解説している。
農薬をあまり使わない有機農産物は,病害虫の食害などストレスを受けており,農薬を使い病害虫などを防いでいる慣行栽培に比べて,より多くの二次代謝産物を作り出している可能性がある。どんな種類の物質がどのくらいの量を生産しているのか,詳細に調べないと,良い健康影響をもたらすのか,あるいは悪影響となるのか,わからない。
松永和紀 (2010). 食の安全と環境:「気分のエコ」にはだまされない 日本評論社 pp.125-126
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