こう考えてくると,まったく新卒にこだわる必要がないことがわかる。むしろ,超大手人気企業が,新卒のみにこだわることの方が異常であるとわかるだろう。
とすると,どうなるか?
新卒固執は見直し,25歳まで採用はOKとする。超大手の人気企業が,何らかのきっかけでこの「欧米的」な慣行を一度取り入れれば,その後,この方式はスムーズに定着していく可能性が高い。
これで,「新卒でなくてもOK」と胸を撫でおろす学生が増えるはずだが,その実,「新卒では入れない」「社会人経験者有利」という社会ができあがる。
素の頭に戻って普通に考えてほしい。あなたが企業の人事担当なら,以下のどちらを採用するのか?
・大学レベルは同じ2人。人物的にも甲乙つけがたい。1人は,大学生。もう1人は,社会人経験者。しかも後者は,中小企業ながら同業での勤務経験があり,商品知識・顧客折衝などにも慣れている。
もし,2人の年齢差が1〜2歳だったならば,企業は,未経験学生を採用するメリットなどあるのだろうか?ましてや2人が,同年齢の既卒フリーターと社会人経験者だったら?答えは言わずもがなだろう。
海老原嗣生 (2011). 就職,絶望期:「若者はかわいそう」論の失敗 扶桑社 pp.22-23
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