どうだろう。新卒一本という誤った常識がすっかり浸透してしまったが,日本の実情をもう一度整理しておこう。
●新卒でフリーターになっても,中小企業なら正社員雇用の間口は狭くはない。
●中小企業で働いた後に,実力さえあれば,第二新卒採用で大手に入れる。
これくらい,日本の社会は新卒一括採用に対する安全弁が整ってはいる。
ただ,これでも,もちろん全員が希望どおりの大企業に最終的に入社できるわけではない。
やはり,実力・人物・運・相性などでうまく選考を潜り抜けた人のみが,希望の企業で就労できることになる。しかし,そのことをもって,時代がひどい,企業がひどい,世代間不公平だというのは的が外れているだろう。
今の日本には,それなりに再チャレンジの仕組みがあり,少なくない若年者がそのレールに乗っている。ただ,再チャレンジもかなわず,結局,名も知れない中小企業で人生を終える人も確かに多い。しかし,若年層に限らず,日本の中高年,もしくは欧米諸国の人だって,多くが中小企業で働いている。それが現実なのだ。
過去は良かった,外国ならもっと良い,というのは幻想だろう。
海老原嗣生 (2011). 就職,絶望期:「若者はかわいそう」論の失敗 扶桑社 pp.49-50
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