前記のとおり,人気大手企業の内定は4月中旬までに出そろう。それらの会社に決まる秀才たちの就活は,4年の1学期早々に終わる。そんな,高偏差値でならすお勉強好きな秀才たちは,その後,待ってましたとばかりに,学業にいそしんでいるのか?
彼らのその後は,いよいよ「学生生活最後の思い出作り」へと拍車をかけ,バイト・サークル・旅行・趣味・恋愛へと傾いていくのではないか?
なぜ,こうした現実が見えずに,多くの識者は「就活さえなくなれば,学生は学業にいそしむ」という的外れな論説を展開するのだろう。
そもそも,就活があろうがなかろうが,それが長引こうが早く終わろうが,昔から文科系の学部で,勉学に励む学生は少ない。これは今の学生に限ったことではない。
就活解禁が10月1日だった30年前だって,8月30日だった20年前だって,6月1日だった15年前だって変わらない。とすると,最大の問題は,就職活動ではなく,大学のカリキュラムに魅力がないことなのではないか?
大学のカリキュラム作りに問題がある中で,すべての責任を就職に押しかぶせても,結局,何も解決されない不幸をもっと多くの人に認識してもらいたい。
海老原嗣生 (2011). 就職,絶望期:「若者はかわいそう」論の失敗 扶桑社 pp.90-91
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