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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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昔と同じでは

 そもそも,どうしてこんなミスマッチが起きるのか。それこそ,現代日本特有というか,脱工業化社会共通の現象でもある。その昔,建設・製造業中心の時代は,仕事内容も非常に見えやすかった。何をいつまでに組み立てるか,それが基本で,そのスキルをつけて手順を間違えなければ,誰でもある程度は仕事をこなすことができたからだ。こうした仕事は,不況ならば労働時間は短縮し,好景気だと残業が増える,というところもわかりやすかっただろう。だから,外からも仕事の内容が推測でき,なるべく自分に合う仕事を選ぶことが可能だった。
 ところが,ホワイトカラー系の仕事が中心の現在となると,営業などがその最たるものだが,仕事に正解はなく,十人十色のやり方となる。仕事量は,好景気にはもちろん多いが,不況期でも「お客を見つける」ために忙しくもなる。もう,外から見てどんな仕事でどれくらい忙しいのか,など見当がつかない。
 さらに,大企業での採用なら,各社のブランドイメージで,会社の社風やカラーなども何となくわかるが,中小企業だとそれさえわからない状態となる。
 製造・建設などの第二次産業から,第三次産業が中心となることと,大卒者の雇用の中小企業シェアが上がることで,これだけ就労環境は変わってしまった。だから,正社員になれない(ならない)人たちが生まれていくのだろう。
 この状況の解決は,「企業に採用を増やせと号令をかけること」や「若者に教育訓練を施すこと」といった,第二次産業中心時代の施策では埋まらないはずだ。

海老原嗣生 (2011). 就職,絶望期:「若者はかわいそう」論の失敗 扶桑社 pp.172-173
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