「若者かわいそう」論者にあえて言いたい。
本当の敵は誰か?
それは,高齢貧困者ではない。高齢の中流世帯とて,決して「逃げ切り」とはいえないから敵とはいえない。
明らかに特をした層,それは高齢者で高学歴で大企業(もしくは運良くその後大企業化する新興企業)に就職して,あとは,エスカレーター式にぬくぬくと出世していった,一部のエリート層,それが戦うべき相手だろう。
彼らは世代の利益など決して代表してはいない。経営がシビアになった超大手企業が年金基金を解散したり,企業年金を減額しようと決議するたびに,高額年金受給者の彼らが猛反対を繰り返す。経営再建中のJALで起きた企業年金減額決議のための一騒動などその最たるものだろう。ただでさえ裕福で,その上に手厚い企業年金までもらっている層が,「財産権の侵害」だと自己の権利を主張する様。さらには後期高齢者医療でも,彼ら高額所得者たちが並み以上の負担をすべきところ,貧困者も含めた一律負担という形での決着。同世代意識などより,自分たちの既得権を守ることに血道を上げる。
彼らに対する攻撃であれば,私は何の擁護もしない。いや加担したいくらいだ。城繁幸氏の「若者は3年〜」シリーズで,大企業の熟年層の実像が過激に描写されているが,00年前後までの大企業の実像は,まさにあそこに書かれた通り,といえることが多かった。
海老原嗣生 (2011). 就職,絶望期:「若者はかわいそう」論の失敗 扶桑社 pp.187-188
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