では,日本型雇用の最大の悪癖とは何か?
言うまでもない。「働かない熟年」「名ばかり管理職」だろう。
それはなぜ生まれるか?
欧米企業でも日本の官僚でも,「幹部候補」は非常に少ない。そして,入り口で猛烈な選抜が行われる。そうした「少数厳選」なら全員が管理職になったとしても,ポスト不足にはならない。対して,採用者全員が幹部候補で非幹部がいない日本の場合,人数が多すぎて明らかに管理職ポストが不足してしまう。
とすると,彼らに昇進を約束するなら,「部下なし課長」=専任職課長という意味のわからない仕組みを作らざるを得ない。そうして,管理職とは名ばかりの熟年社員が社内に多数存在するようになる……。
日本の「総合職制度」の問題がわかっただろうか?
要約すれば,それは,「全員幹部候補」であること。そして,入り口で「少数厳選採用」となっていないこと。この2つに端を発し,出口では,「名ばかり管理職を生み出す」ことに行き着く。
海老原嗣生 (2011). 就職,絶望期:「若者はかわいそう」論の失敗 扶桑社 pp.241-242
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