私がよく指摘するのですが,米国医療に対して日本の方は非常に高い関心をもっていらっしゃいます。いや,もとい。米国医療というより,米国のすべてに日本は高い関心を抱いています。米国のやっていることは必ず日本に起こる,といわれて久しいですが,この両者はどちらかというと日本の片思いで,米国側には全然その気はない。かいがいしくも,日本の人たちは米国からはちょっとよくして貰って歓喜したり,そっぽを向かれてしょげ返ったりします。まあそれだけ日本の皆さんが米国医療に関心を持っていただいているので,私がこんな駄文を書いていても,読んでくださる方がたくさんいるわけです。私はこの傾向に感謝すべきなのでしょう。
ところが,先進国中ここまで米国に高い関心のある国というのは珍しく,これが医療の問題になると全く無関心です。米国は医学界で世界の最先端をいっていることは自他ともに認めることではありますが,いったいどうしたことでしょう。
岩田健太郎 (2003). 悪魔の味方:米国医療の現場から 克誠堂 pp.167
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